• TOP
  • 特別対談 結局、恋愛は科学で説明できるもの?(後編)

特別対談@ 脳科学者・中野信子氏ー恋愛結婚学研究所長・新上幸二

結局、恋愛は科学で説明できるもの?(後編)


脳科学者の中野信子氏が、12月17日(月)の19時から1名の「愛カツ電話相談」の先生として、実際に1名のお客様と電話で恋愛相談をしていただきます。それに先立ち、愛カツ電話相談のプロデューサーであり、恋愛結婚学研究所・所長の新上幸二氏と対談を行った模様を全2回でお送りしています。
前編では、「片思い」「思い込み」という恋愛でよくある悩みを、脳科学の視点から解説いただきました。後編では「恋愛スタイルと遺伝」そして、実際に中野さんが電話でどのような恋愛相談を行うのかをお話しいただきます。

恋愛のスタイルや愛し方は、両親から遺伝するの?



新上:前回お話をした人の愛着スタイルの形成には、両親の影響を多く受けているのではないか、と自分なりの仮説を持っているのですが、いかがでしょうか?

中野:もちろん、遺伝の影響はあります。

新上:極端な例かもしれませんが、両親が離婚をされている方は、その子どもも離婚しやすい、ということも有り得るのでしょうか。離婚は遺伝的なものなのでしょうか?

中野:『ディボース・ジーン』が存在することが話題になり、物議を醸しました。問題になった理由は「この遺伝子を持っていたら必ず離婚するのか?」というと、そうではないからです。影響があるというだけで、その遺伝子を持っているからといって100人が100人離婚するわけではない。なかなか、みなさんに正確に理解していただくのは難しいのですが。

新上:科学的なことを正しく理解をしていただくのはなかなか難しいですね。どうしても、メディアは分かりやすい解説をしようとするから、正確に伝えられないことがあります。

中野:難しいです。このトピックで言うと、遺伝的な影響が無くはないのですが、むしろその後の、幼少期の環境要因や経験が大きいと考えています。 愛着スタイルの形成が起きる時期に、適切なコミュニケーションを周囲から受けられれば、安定型の素地を築くことができます。
いっぽう、その時期に愛着形成がされないと、不安型や回避型になってしまい、結婚向きではない脳が作られてしまうこともあります。

新上:相性の話はみなさんが気にするところですが、たとえば、夫婦になるならこういう二人が適しているなど、科学的な理由はありますか? 確か以前のインタビューの中でお互いのニオイが相性に影響するという話をされていましたね。

中野:それは有名な話です。Tシャツの匂いを嗅いで、その匂いの好き嫌いで相性の良し悪しがわかるというものですね。もう少し、高次機能や心理学的な話をするならば、『サイコパス』に書いたのですが、サイコパスの女性はサイコパスの男性を好むというのがあります。

新上:意外ですね、サイコパスの人は自分が思い通りに制御できる人を好むと思っていました。

中野:もちろん、それが長続きするかどうかはわかりません。相性が良くても、恋愛か、結婚生活かで違いますよね。性格が近しい人とは、確かに意気投合はするけれども、果たして結婚生活を楽しく過ごせるの? と聞かれると考えてしまう。
10年も20年も長く続く結婚生活で、そのテンションをずっと保つのはなかなか難しいですよね。

新上:恋愛のテンション、ドーパミンの分泌も同じ相手に対しては、ぜいぜい数か月しか続かないですよね。そのあとも、同じ相手と一緒にいるためには別の何かを築くことが必要になると思います。それは簡単に言えば、「一緒にいて居心地がいい」ことだと思います。

中野:居心地がいいというのは、先ほど申し上げた「この人しかいない」にもつながりますね。そうすると、もはや遺伝的な要素で相性が決まる、とは、ちょっと言いにくいですね。

そもそも「この人DNA的に合いますよ」と言われても、「おお、そうですか」とは言えないですよね(笑)

さらに言えば、さきほどのニオイのケースで言えば、女性の生理的な状態も影響してきます。たとえば、女性がピルを飲んでいるときには好みが変わることもあります。
そういった要素を考慮すると、恋愛に関するDNA的な縛りは緩いのだろうと言わざるを得ないですね。

新上:この対談を企画したときに、恋愛はDNAによって縛られる、という仮説を立てたのですが、それが外れて良かったです(笑)。DNAに縛られると自分の力ではどうしようもなくなってしまいますし、恋愛相談の意義も無くなりますから。

恋愛相談は「相談」ではなく、相談者の決断を後押しするもの



新上:さて、長い対談となりましたが、そろそろまとめに入りましょう。今回、恋愛相談の先生として利用者から恋愛相談を受けるわけですが、今まで中野さん自身は、過去に恋愛相談をしたいと思ったことがありましたか?

中野:相談しても解決しないと個人的には考えていまして。でも、確かに客観的な意見は欲しいと思うことがありました。
好きな相手がいて、いま自分はその人のことを好きだからよく見えているけれど、実際どうなのだろう? ということは思いましたね。人柄は良いけれど、年収は微妙。こういう人はどうなんだろうとか。

新上:相手の条件を気にするものですか? 中野さんでも。

中野:条件を気にしていない私が大丈夫なのか、と気になりましたね。

明らかにヒモみたいな人がきたときに、好きだから結婚するっていう人いますよね? 結婚相談所には絶対来ないタイプの女性だと思いますけれど。

新上:つまりメタ認知の補完と言いますか、自分の選択判断が正しいかどうかを客観的に聞きたいということですね。

中野:はい。たとえば、明らかに『夢はミュージシャンです』と言っているけれど、今もフリーターでだれが見ても、厳しいと思うような男性。
体力もなさそうだし、ミュージシャンになると言っているけれど、ギターを買ってまだ半年……みたいな。10代の女性なら分かるけれど、30代後半だったらとしたら、彼を選ぶ選択はどうなんだろうと。

新上:こういう相談をされる方は自分の中で、すでに結論を決定済みだと思います。自分の判断を後押ししてほしいだけだけ、というケースを多く見てきました。私が何をお伝えしても、ご自身の考えに合ったことを私が言うまで、ずっと相談が続いたケースもあります。

中野:確かに実際のところ、答えはもう決まっているんですよ。相談する人は『背中を押してほしい』のですよね。もし、私が回答をするならば、「あなたが選んだ答えを正解にできますか?』って聞く。

新上:おお、とても迫力を感じます。

中野:その覚悟がないなら相手も不幸にするからやめなさい」と言います。

新上:仮に結婚したとしても、結局、後で後悔する確率がかなり高そうですが……

中野:実際、私の母もそういう結婚をしているので、自分もそうなのではないかと、不安に思いました。私がもし、恋愛相談を受けるのなら、「私は母と同じことをしているんじゃないか」と客観的に意見を聞きたいですね。

新上:つまり、恋愛相談というのは「相談」ではなく、決めた判断を後押しするためのものなのですね。

中野:「結論を後押ししてほしい」とか、あとは「自分のあふれる想いを受け止めてほしい」。それはもう延々と続くのだと思います。

新上: 今回の電話相談では、中野さんは相談者の方のあふれる想いを受け止める、ということですね(笑)

中野:時間限定とはなりますが……相談時間内なら全て受け止めます!

新上:ありがとうございました。当日を楽しみにしています!


⇒前編に戻る